3 『源氏物語』の巻名はだれがつけたものか
『源氏物語の謎』増淵勝一 著 - 国研ウェブ文庫
結論から先に述べると、『源氏物語』の巻の名は作者の紫式部自身がつけたものです。
根拠の一つは、「手習」の巻に、横川の僧都の妹尼らの住む小野の草庵について、「かの夕霧の御息所(みやすどころ)のおはせし(イラッシャッタ)山里よりは、今すこし(奥ニ)入りて」とあります。御息所は天皇のお子さんを生んだお妃を言います。夕霧は天皇ではありません。したがって「夕霧の御息所」というのは、「夕霧」の巻に(出て来る)御息所という意味になります。実際「夕霧」の巻には夕霧が恋をした落葉の宮(女二の宮)の母である一条の御息所が出て来ます。「手習」の巻ではるかに前に出て来る御息所を「夕霧」の巻のと言っているのですから、原作にすでに巻名がついていたことになります。
