5 光源氏に愛された女性の中で、一番しあわせだったのはだれか
『源氏物語の謎』増淵勝一 著 - 国研ウェブ文庫
光源氏が愛した女性は、最初の正妻であった葵の上(左大臣の娘)をはじめとして、六条の御息所(前皇太子未亡人)・空蝉(伊予介の後妻)・軒端荻(伊予介前妻の娘)・夕顔(義兄頭中将の愛人)・藤壺(義母)・紫の上(藤壺の姪)・末摘花(故常陸宮の娘)・源典侍(老女官)・朧月夜(兄朱雀帝の尚侍)・花散里(桐壺帝麗景殿の女御の妹)・五節の君(大宰大弐の娘)・明石の御方(明石入道の娘)・女三の宮(朱雀帝第三皇女)らがおり、この他にも侍女の中務の君・中納言の君らも源氏から愛されています。また作中にはその名を記されていない愛人たちも相当いたようですし、男女関係はなかったものの源氏から愛された朝顔の斎院(源氏の従姉妹)や玉鬘(夕顔の娘)らもいます。
『源氏物語』では、女性が光源氏に愛されることは、その女性にとって最高のしあわせであるという前提があります。したがって源氏の愛を受けた女性たちは、そのときどきでしあわせを感じたと思いますが、自分に夫がいたり、身分や年齢の差があったり、容姿に自信がなかったりで、十分にしあわせにひたり切れない女性もいました。また源氏に生活上の保護は受けながらも、契りを交わすこともなくなった女性たちも少なくありません。
はたから見れば、光源氏から生涯愛されつづけた紫の上が一番しあわせであったかのようにも思われますが、彼女自身は女三の宮の降嫁以来源氏に対する不信感に悩まなくてはなりませんでした。むしろ光源氏との愛の陶酔のさなかに物怪(もののけ)に取り殺された夕顔や、源氏に手厚くもてなされたその娘の玉鬘などが、本人のしあわせ感は最高だったのではないでしょうか。
『源氏物語の謎』増淵勝一 著 目次
- 『源氏物語』はいつ書かれたか
- 『源氏物語』はどんな物語か
- 『源氏物語』の巻名はだれがつけたものか
- 『源氏物語』の時代設定はいつか
- 光源氏に愛された女性の中で、一番しあわせだったのはだれか
- 『源氏物語』の伝本にはどんなものがあるか
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